自分で手描きの間取りを作る?
工務店やHMの設計士に手書きの間取りを見せてもよいか?
私は、実際に家を建てる方と数えきれないほど設計打合せをしてきました。
その中で、感覚的には20人に1人くらいの割合で自作の間取りを作って来られる方がおります。
自作の間取りを申し訳なさそうに見せられるので、こちらも申し訳なく思うこともしばしば・・・。
設計士はプライドが高くて、設計に対する美学をもっているので、プロではない人が書いた間取りは受け付けないのではないか?
このようなイメージを持たれて、自作の間取りを見せることに躊躇している方も多いと思います。
しかし、その心配、必要ありません。
名の知れた建築家場合、「膨大な知識や歴史から導かれた独自の美学が存在し、それを世の中に提示することで、その美学に賛同したクライアントが設計を依頼する」という流れがあると思います。
しかし、注文住宅を手掛ける工務店やHMは、そもそもの立場が違うのです。
つまり、「お客様の要望をお聞きして、それを設計に反映する」というのが仕事です。
もちろん、組織に所属していようがいまいが、設計士も一個の人間です。いろいろです。
建築家を超えるほどの知識や美学を備えている人も数多くおります。
それは、どの業界でも同じことです。
ただ、注文住宅とうたっている以上、お客様には注文できるという大義名分があるのです。
一生に一度の大きな買い物です。
もし自作の間取りがあるならば、遠慮なく見せてください。
最初に、「自分で間取りを考えてきたのですが、見てもらってもよいですか?」と一言そえて、見せるとよいと思います。ほとんど設計士は受け入れてくれると思います。
手書きで間取り図を書く人の事情とは?
などなど・・間取りを自分で書く理由はさまざまです。
そして、いざ間取りを書くとなると「さて何から書けばよいのやら・・・」と一瞬かたまるかもしれません。
もちろん間取り脳が備わっていて、いきなり書いてしまう人もいます。
間取り図の書き方
手順1:道具をそろえる
間取りを書くための用紙やペンなどをそろえます。
オススメの道具は後ほど・・・
手順2:標準的各部屋のサイズを方眼紙のマス目サイズで覚える
- 玄関:2マス×1.5マス
- ホール:2マス×1.5マス
- 直階段:1マス×3マス
- 回り階段:2マス×2マス
- トイレ1帖:1マス×2マス
- 洗面脱衣室2帖:2マス×2マス
- 浴室2帖:2マス×2マス
- 和室4.5帖:3マス×3マス
- LDK16帖:4マス×8マス
- LDK18帖:4マス×9マス
- 寝室8帖:4マス×4マス
- WIC2帖:2マス×2マス
- 子供部屋6帖:3マス×4マス
- 子供部屋4.5帖:3マス×3マス
- クローゼット1帖:1マス×2マス
- 廊下の幅:1マス
※1マス=方眼紙で1センチ角
※木造住宅の場合、柱の間隔が910㎜ピッチなので、1マスを910㎜として扱います。
手順3:各部屋のマスを組み合わせる
各部屋の標準的なサイズがわかれば、あとはそれらを組み合わせるだけです。これだけです。
間取りを組合せる方法A
- 方眼紙を各部屋の手順2のサイズごとに切り取る
- きれいな方眼紙の上に各部屋を並べてパズルのように組み替えて部屋の配置を考える
- より細かく間取りを作りたい場合は次のBへと進む
間取りを組み合わせる方法B
- 方眼紙に鉛筆で恐る恐る手順2のマスサイズ通りで各部屋を書いていく
- 関連性のある部屋はおのずと隣にきます。洗面脱衣室と浴室はセットで考えられるなど・・
- 玄関の位置も道路の向きによって決まってきます。
- 書いては消すことを繰り返しているうちに少しずつ書けるようになってくると思います。
この間取り作成方法の詳細を知りたい方は、建築知識ビルダーズNo.10 : 住宅プランの基礎知識 間取り提案の基本の「き」に、私が執筆しておりますので、よろしければ参考にしてください。
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少し古い本なので在庫を確認してください。
間取り図作成にオススメの道具7選
それでは、私が毎日のように間取り作りに取り組む中で、コスパを含めてオススメの道具を紹介しようと思います。
方眼紙
間取りを書く用紙は、広告の裏でもよいですが、できれば方眼紙を使ってください。
100円均一の方眼紙で十分です。
私はセリアのA4版の方眼紙を愛用しています。ダイソーのA4版の方眼紙は若干紙厚が薄いんです。間取りを書く際に消しゴムで用紙を擦ることが多いので、ダイソーよりも厚めの紙のセリアの方眼紙がオススメです。
用紙サイズはA4版であれば、40坪程度まで1階と2階両方が用紙の中におさまります。
一応、アマゾンで買えるよさそうな方眼紙ピックアップしました。
シャーペン
鉛筆やシャーペンはすでにお持ちの方がほとんどかと思います。それでよいです。
気持ちを高めるために製図用のシャーペンを買ってもよいかと思います。
私の場合は、もともとは製図用のシャーペンを使っていましたが、今はぺんてるのグラフギア500を使っています。芯の太さは0.9㎜。これは個人差があるので好きな太さでよいかと思います。
下書きで鉛筆やシャーペンを使います。
サインペン
これはいつもの手書きの間取りです。下手な絵ですみません!
この太線の部分をぺんてるサインペンで書いてます。
とにかく書きやすくて長持ち。
1963年に発売されたぺんてるサインペンは、NASAにも認められて宇宙でも使われたほど。。
建築家でも使っている人が多いようです。名作なのに庶民的。誰もが一度は手にしたことがある名作です。
ボールペン
上の間取りの細い線は、ゼブラジェルボールペンサラサを使ってます。
細いペンは、ほんとにいろいろ試しました。
若い頃は、ロットリングといって製図専用の高額なペンを使用していましたが、消耗が激しいことを考えると、行きつくところは100均!
お値打ちなのにインクの出具合が安定してます。
コピックマーカー
上の間取りで色のついた部分はコピックマーカーを使用しています。
これは少し高額ですが、代わるものがなく、昔からコピックマーカーを使っています。
コピックマーカーは、取扱店が少なく、普段は車で20分くらいの画材店で購入しています。
最近までネットで買えなかったと思います。
ネットで買えたほうが便利なので、これからはネットで購入しようと思います。
コピックマーカーよりもコピックチャオがお値打ちです。こちらでよいと思います。
- 茶系:コピックチャオE31
- グレー系:コピックチャオT1(T1がないので近いC1のリンクです)
- 青系:コピックチャオBG72(BG72がないので近いCB12のリンクです)
- 緑系:コピックチャオG21(G21がないので近いG00のリンクです)
三角スケール(ものさし)
間取りを書く際、方眼紙があればフリーハンドでもよいですのですが、きっちりと直線を書きたい場合は、ものさしを使います。
お子様が学校で使うものさしでもOKです。
もし、これからどっぷりと間取りの世界に浸りたい方は、三角スケールの購入をおすすめします。
三角スケールがあると、何が便利かというと、1/100で書いたり、1/200で書いたり、縮尺を自由に変えられるからです。これだけの説明ではわかりづらいと思います。
例えば、A4の用紙に建物が建つ予定の敷地図を書こうとすると、方眼紙1マス1m(1/100)とした場合、用紙からはみでます。そういう場合は、縮尺を1/200に変えて敷地を小さく書けばおさまります。
メジャー
間取りを作るのに「なぜメジャーがなぜ必要?」と思われるかもしれませんが、実はよく使います。
本や資料に載っている寸法よりも、実際住んでいる部屋で寸法を確認したほうがよい場合も多々あります。
例えば・・窓の大きさ、テレビからソファーまでの距離、キッチンとカップボードの空きスペース、机の奥行、寝室の広さ・・・など、「今の生活でこれだけの寸法が必要だからマイホームの間取りはこうしよう!」という具合で、間取りを変えていってよいと思います。
メジャーは何でもよいかと思いますが、できれば3mは測れるものがよいと思います。
部屋の天井高さが、一般的には2.4m~2.5m程度なので、その程度は許容できたほうがよいかと。
欲を言うならば、寝室の長手方向が3m以上ある場合が多いので5mのメジャーを買っておくとほとんどまかなえます。とはいえ、そんなに頻繁に使うものではないですし、細かな寸法を測ることのほうが多いので3mでも十分です。
オススメのメジャーは、好き嫌いがあるかと思いますが、設計士さんで愛用している方が多いスタンレイのパワーロック3m。
ザ・アメリカンといった具合で、私も実際使っていましたが、細かなところまで要求しなければ問題なく使えます。むしろ無骨で大雑把な作りに親しみがわきます。持っているだけでテンションが少し上がります。
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